レーシック失敗したらどうなる?リスクについて眼科医の兄ちゃんに詳しく聞いてみた

この記事を読んで解決すること
  • 「レーシックに興味あるけど、正直ちょっと怖い」
  • 「もし失敗したらどうなるか心配」
  • 「レーシックすると失明するかもしれない」
しょうた

お兄ちゃん、率直に聞きたい!
レーシックって失敗したら失明するの?
ネットを見てたら怖いことがたくさん書いてあって。

目医者の兄ちゃん

レーシック手術が失敗するかも・・という心配はわかるけど、失明に至るような重大な合併症は非常に稀だよ。レーシックは非常に高い成功率を持つ手術で、多くの場合は安全に行われているんだ。
ただし、手術にはリスクが伴うのは事実で、一部の人には合併症が起こることがある。例えば、手術後にドライアイやハローグレアといった症状が出ることがあるよ。これらは通常、時間が経てば改善するものだけど、中には長期間にわたって症状が続く人もいる。
重要なのは、「どんなリスクがあるか」ということや「手術前にしっかりと検査を受けて、自分の目がレーシックに適しているかどうかを確認すること」そして、経験豊富な医師に手術を行ってもらうことだね。リスクや合併症についても、事前に医師としっかり話し合って、十分に理解しておくことが大切だよ。」

レーシックのいいところは、視力が回復し、裸眼で日常生活を送ることができるということ。手術時間も15分から20分程度と比較的短時間ですし、目薬の麻酔で痛みはほとんどなく終わることが多いです。何といってもコンタクトや眼鏡から解放されますし、手術翌日から裸眼でみえる景色にはとても感動される方が多いです。

一方で手術という側面から、完全に”ノーリスク”というわけではなく、少なからずリスクが存在するということをご存じでしょうか?そのため、何も考えずに安易に手術をうけるというのはお勧めしません。

ただ、ネットやSNSを見ていると「失明する」とか「全然みえるようにならない」など、果たして本当なのかな?というような過度に手術を受けるのを怖がらせるような情報がたくさんあり、レーシックに対して誤解を生んでしまう可能性もあり、それはよくないと思っています。もちろんそういった怖い合併症を生じる可能性というのはかなり低いです。

大事なことは手術した後に何が起こりうるかということをしっかり理解したうえで、信頼できる病院で治療を受けることです。 レーシック手術が失敗するかもという心配はわかりますが、失明に至るような重大な合併症は非常に”まれ”というのが事実です。レーシックは非常に高い成功率を持つ手術で、多くの場合は安全に行われています。もちろん無条件に安全というわけではなく、「どんなリスクがあるか」ということや「手術前にしっかりと検査を受けて、自分の目がレーシックに適しているかどうかを確認すること」そして、経験豊富な医師に手術を行ってもらうことが手術成功のカギとなります。

この記事では、現役の眼科医の目線でレーシックのリスクについて、つつみ隠さず、ありのままに、解説していきます。レーシックをうけるか検討中のあなたの一助になれば幸いです。それではまいります。

目次

リスクはあるが、過度に心配する必要はない

この記事にたどり着いた人は、レーシックを受けるか検討している人が多いと思いますが、目次にあるリスクの可能性の多さをみて

「えっ?こんなにリスクの可能性があるの!?」
「やっぱり怖くなってきたし、やめておくか・・」

と思った人も多いかと思います。 しかしこの記事は、レーシックを考えている人を怖がらせるのが目的ではありません!
正しい知識をもったうえで、手術をうけてほしいということと、何より

目医者の兄ちゃん

リスクはゼロではありませんが、そもそもの発症率が低く、
基本的に安全な手術なんです!

ということを知ってもらうこともこの記事の目的のひとつです。 これが “リスクの内容より大事なこと” と思っています。

余談ですが、世の中リスクをあげればきりがありません。 車の運転をするとき、事故起こすかもと思って運転しますか? 日々しているコンタクト、これで目に感染症を起こして失明するかも、と考えてる人はいますか?
考えながらしている人はおそらくほとんどいないと思います。しかし、世の中のどこかで、交通事故を起こしている人はいるし、コンタクトの使い方を間違えて失明している人だっていているわけです。
でもほとんどの人はそうではないですよね。 普段こうやって何気なく使っているものにもリスクは存在しています。
レーシックもリスクのことばかり考えていては、しようとは思わなくなります。 それ以上に裸眼で見えることの感動、メリットのほうが大きいはずです。 なので、今回はリスクを熟知していただき、手術を検討してくだされば幸いです!

術後に起こる可能性のある合併

ドライアイ

それでは気を取り直して一つずつ見ていきたいと思います。一つ目は”ドライアイ”です。

ドライアイ自体は、誰しも一度は耳にしたことがありますよね?眼が乾燥して、違和感がでたり、夕方になると疲れて見えにくくなるという目の病気の一つです。

スマホドライアイとは別件ですが、レーシックでは角膜を削るので、神経にも影響を与えることによってドライアイが後遺症として残る可能性があります。

すこし驚くかもしれませんが、レーシック術後は角膜を削る影響でほぼ全員、一時的にドライアイになります。

ただ、通常は半年から1年で改善することが多いです。しかし人によっては症状が残る人、つまり後遺症になるひともいますので注意が必要です。

ハロー・グレア

ふたつめが、ハロー・グレアです。街頭の光や、対向車の光をみたときに、光の周りにぼんやり、輪をかけたように見えたり、光をまぶしく感じる現象のことです。

ハローグレア現象は別記事にもしていますので、詳しく見てみてください。

ハロー・グレアは術後ほぼ出現するといっても過言ではありませんが、人によって程度にばらつきがあります。ただ、基本的に運転ができなくなるほどきついことは少ないですし、時間の経過とともに慣れてきたり、症状が改善することが多いです。

目医者の兄ちゃん

先日うっかり無灯火運転で捕まったときに警察官とお話したのですが、聞くと警察官のひとも20年前にレーシックをしていたみたいで、今でも夜も問題なく運転できて快適に仕事できているとのことでした。おかげで、夜くらいのに、しっかり無灯火運転で捕まってしまいましたが。。

また近視になる(近視戻り)

しょうた

レーシックした後って、また近視になることある?

目医者の兄ちゃん

レーシック手術後に再び近視になることは、実際に起こり得るよ。特に、20代や30代でレーシック手術を受けた人は、40代や50代になると自然な変化によって再び近視が進行することがあるんだ。でもそれがかえって老眼の症状を和らげることになる場合もあるから、一概に悪いこととは言えないんだ。

全員ではないですが、手術しても一定の割合で軽い近視がまた出てくることがあります。正直なところ、原因ははっきりとはわかっていません。角膜の削ったところが薄くなって眼球自身の圧で伸ばされてスティープになる、角膜の上皮が再生して厚みが増すことによって近視化する、年齢とともに生理的な変化で眼軸が伸びて近視化する、など・・いろいろな説があります。

ただ、実は近視は悪いことばかりというわけではなく、メリットもあります。それは、「軽い近視があると40代を過ぎたころに老眼が楽になるというメリット」です。

先日、外来にきた40代の男性の方で20歳の頃にレーシックを受けた方がおられましたが、その方も少し近視が出てきていました。裸眼の視力は0.8くらいまで落ちていましたが、老眼がないので、

生活には全く困っていないし、周りが老眼で困っている中、
自分だけ老眼がないのでラッキーでしたね。

といっておられました。このようなこともあるので、将来的にまた近視になる可能性はありますが、そこまで心配はしなくていいように思います。

もちろん、近視をなくすことが大事だ!というひとは、適応検査をして適応がある場合は再手術を受けることも選択肢のひとつにあたります

老眼になる?➡ならないです。

しょうた

レーシックしたら老眼が一気に進むってみたんだけど、あれって本当?

目医者の兄ちゃん

それは誤解だよ。レーシック手術が直接老眼を進行させるわけではないんだけど、この話には少し誤解があるんだ。
老眼は、年齢とともにピントを合わせる能力が低下する自然な現象。レーシック手術は角膜の形を変えて近視や遠視、乱視を矯正するけど、老眼には影響を与えないんだ。
ただし、近視の人は、近くのものを見るときにはピントを合わせやすくなっている。レーシックで近視が矯正されると、この「自然なピント調節」がなくなるため、老眼の症状が以前よりも顕著に感じられることがあるんだ。
つまり、レーシックが老眼を進行させるわけではなく、老眼が目立ちやすくなることがあるというのが正しい理解だね。老眼は40歳を過ぎると誰にでも起こり得るものだから、レーシックを検討する際には、将来の老眼のことも考慮に入れておくといいよ。

レーシックを受けると老眼になりやすいという記事をちらほら見かけますが、医学的にレーシックの合併症として老眼になるというのは間違いです

ただ、なぜこのようなことが言われるかというと、

近視のひとは、もともと手元を裸眼でみることができるので、老眼がないように感じている方が多いです。ただ、レーシックをうけたひとが、老眼が出てくる年齢になると(目安として40歳以上)、手元が見えづらくなり、レーシックをうけたからではないかと心配になるからではないかなと思います。

逆にレーシックで老眼を治す方法はないことはないのですが、レーシックでは老眼を治すことは日本では一般的ではないので、もし老眼を治したいと考えるならば、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術をうけることを検討するのがよいと思います。

過矯正 もしくは 低矯正

レーシックの手術をしている先生は、必ず患者さんの視力を裸眼で1.0や1.5見えることを目指して手術をしています。

そのために術前検査データを何度も見返したりして、手術に臨みます。その結果、ほとんどの方は裸眼1.5近くの視力になりますが、まれにそうならない方もいらっしゃいます。そうなると近視の矯正が足りなかったり、近視の矯正が強くなってしまう可能性があります。

しょうた

兄者…よくわからない。結局どういうこと?

目医者の兄ちゃん

簡単にいうと、近視の矯正が足りないというのは、少し度数の弱いメガネをかけたような見え方、矯正が強いというのは、少し度数の強いメガネをかけたような状態になるってことだよ。イメージできそう?

こうなったとしても、自覚症状がなかったり、徐々に見え方に慣れてくる可能性があります。どうしてもであれば追加処置を検討します。

 目の感染症がおこる

どんな手術を行っても術後は感染症のリスクがあります。怖い話をすると、目の感染症は最悪の場合、失明に至る可能性があります。ただ、おこる可能性としては正直なところあまり高くありません。もしなった場合は抗生剤の点眼等で治療をすることになります。術後、おかしいと思ったらすぐに受診できるような信頼のおける病院で手術を受けることが大事だといわれる由縁です。

黒目が濁る(角膜混濁)

レーシックの術後、一時的に角膜といって黒目の部分が濁って、視力が出にくくなることがあります。最近は滅多に起こりませんが、起きた場合は炎症を抑える目薬で治療します。これも非常にまれです。

特殊な乱視が出る(角膜エクタジア)

目医者の兄ちゃん

これは術前にある程度リスクを予測できるから、しっかりした眼科で治療を受けてくださいね。

角膜エクタジアといって眼鏡で矯正できない特殊な乱視(不正乱視)がでることがあります。これは一番注意しないといけない合併症で、とくに術前検査で注意して診察しているところになります。当然、術前検査である程度リスクを判断できますし、リスクがあると判断した人には、レーシックを勧めないようにしてます。適切な検査をうけることが非常に重要です。

フラップトラブル

角膜に手術でフラップという蓋のような構造を作りますが、まれにシワが入ったり、取れてしまうことがあります。そのときはコンタクトをしてもらうなどの追加処置を行って再手術になることがあります。

レーシックを検討している人は、信頼できる病院でうけましょう。

しょうた

心配しすぎはよくないっていわれたけど、さすがにこれだけみると不安になっちゃうね。

目医者の兄ちゃん

怖がらせるのが目的ではないんだけどね。ただ、知っておく必要はあるから知ってもらえてよかったよ。でも一番覚えておいてほしいのは、レーシックにかかわる眼科医は、こういったリスクを常に頭において治療を行っているということ。もちろんわたしとしてもそういった眼科をおすすめするよ!

ここまで読んでいただきありがとうございました。すこし怖がらせてしまい、申し訳ありません。

ただ目医者の兄ちゃんがいうように、しっかりと知っておいたうえで治療を受けることが大切であるのと、同時にわたしたち眼科医はこういったあらゆるリスクを頭にいれて、こういった合併症が起こる可能性を限りなくゼロに抑えるよう日々努力していますということも知っていただけたらとてもうれしいです。

レーシックを行っている病院は全国の眼科のなかでも数は少ないですが、そのぶんお勧めの病院はいくつかあるので、次の記事でご紹介させていただきます。参考になれば幸いです。ありがとうございました!

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この記事を書いた人

MEISHA Mediaは、小学生の頃からの近視と乱視に悩む弟が、SNSでみた視力回復トレーニングで成果が得られず、兄である眼科医のわたしに相談をしてきたことから始まりました。日頃、手術で視力を取り戻す人々を見てきた私は、弟だけでなく、他の人たちも同じような人がいるかもしれないと思い、医学的に正しい方法を伝えるためにこのサイトを立ち上げました。私たちの経験を活かし、眼科医監修のたしかな医療情報と、信頼できる眼科クリニックを選ぶサポートができることを目指しています。

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