話題のICLについて眼科医の兄に詳しくきいてみた!

しょうた

今友達でも目の中にコンタクトを入れるICL(アイシーエル)ってのを受けてる人がいて、みんな目が良くなって裸眼で過ごせるようになってるんだよ。兄ちゃん、眼科医になったんだよね!?ぼくも受けようか迷ってるんだけど、あれって実際どういうものかわかりやすく教えてくれない?

目医者の兄ちゃん

たしかに芸能人やインフルエンサーの影響もあってICLを受ける人はすごく増えてるよ。実際、眼科医の目線でも、視力回復するにはとてもいい治療だと思うよ。せっかく眼科医になったし、いろいろウンチクも含めて話していくね。

目次

1. ICLってそもそも何?

ICL(Implantable Collamer Lensの略)は、近視や乱視を矯正するための手術です。この手術では、特別に設計されたレンズを眼のなかにいれることによって、自然な視力回復を実現します。ICL手術は、特に近視が強い人や、レーシック手術に適さない薄い角膜を持つひとに最適です。

わかりやすいように眼内コンタクトレンズといってますが、ICLは眼のなかに入っているため、コンタクトとはいっても外からはわかりません。なので手術を受けたかどうかは、外見では全然わかりません。
この手術の特徴は、将来的に必要に応じてレンズの除去や交換が可能だということと、レーシックと違って角膜を削らなくても大丈夫ということがあります。

ICL手術は、その高い安全性と効果のために、世界中で数多くの成功例が報告されています。実際、わたしもたくさん患者さんをみていますが、かなり満足度が高い手術だと実感して、本当におすすめできる手術といえます。

目医者の兄ちゃん

もちろん、どこで手術を受けるか、ということもとても大事です。下のリンクで眼科医の私がおすすめするクリニックをいくつか紹介しています!

2. ICL手術の歴史

目医者の兄ちゃん

せっかくなんで、ICLの歴史についてもウンチクを語らせてください。
興味ある方だけ読んでいただければと思います。全然読み飛ばしてOKです!

ICLの歴史は、1990年代に遡ります。この時代、レーシック手術が一般的でしたが、すべての患者に適しているわけではありませんでした。特に、近視が強い人や角膜が薄いひとは、レーシック手術の適用外で受けることができませんでした。

ICLの開発は、当初これらの患者に代替の視力矯正手段を提供することを目的としていました。初めてのICL手術は実はかなり昔、1993年に行われています。それ以来、技術は大きく進化しました。2000年代初頭には、ICLは国際的に認められ、世界中の患者に適用されるようになりました。最新のICLは、コラマーという優れた素材を使用しているので、長期的な安全性があるといわれています。

この歴史にもある通り、ICL手術は特にレーシック手術が受けられない人におおく選ばれています。長年にわたる研究と臨床経験を経て、ICLは現在、視力矯正手術の安全で効果的な選択肢として確立されているんです。

ICL手術の流れ

目医者の兄ちゃん

どんな流れで手術をしていくかを知っていると、より実感がわくと思うので、簡単にご紹介します。

事前の検査と準備

手術前には、詳細な眼の検査が行われます。じつはここが一番重要です。この検査で、視力検査、角膜の厚さ、眼の長さ、前房の深さなど、様々な測定が含まれます。この結果から、患者さんにとって一番いいレンズの種類を選択するのですが、ここが本当に重要です!ここで適切なレンズを選択できるかが、クリニックの腕の見せ所なんです。

目医者の兄ちゃん

普通のコンタクトだったら、一回つけてみて、なんだか見づらいな~と思ったら、また別のを付けて、一番いいものを選ぶことができますが、ICLは事前の検査で決めたレンズを入れることになるので、要は『一発勝負』。ここで違ったレンズを入れてしまうと、術後よく見えない・・なんてことになりかねません。なので信頼できるクリニックでうけるようにしましょう!

実際の手術の流れ

ICL手術は通常、局所麻酔といって目薬の麻酔だけで行われます。病院によっては笑気麻酔といって、手術時間は病院によって異なりますが、約20〜30分です。手術は以下のステップで進行します。

  1. 小さな切開の作成: 最初に、眼の周囲にちいさい傷口(切開といいます。レンズを入れる入り口のことです)を行います。この切開は、ICLを挿入するために必要です。
  2. ICLの挿入: 次に、事前にオーダーメイドされたICLが、目の中に挿入されます。
  3. 位置の調整と確認: ICLが適切な位置にあることを確認した後、眼科医は傷口を閉じます。通常、この傷口は非常に小さいため、針で縫ったりすることはありません。

手術後のケア

手術後はしばらく休息する必要があります。手術直後から視力の改善を感じることが多いですが、完全に視力が安定するには数日から数週間かかることがあります。手術後は、決められた通り処方された目薬を使用し、定期的に診察を行います。

ICLの利点とリスク

目医者の兄ちゃん

もちろんICL手術もメリットとデメリットが存在しますのでそこを理解することが重要です。

利点

  1. 乱視も矯正できる: ICLは近視が強くても乱視があっても治療可能です。
  2. 角膜を削らない: ICL手術は角膜を削らずに行われるため、角膜に関連する合併症のリスクを最小限に抑えます。
  3. 可逆性と調整可能性: ICLは必要に応じて取り外しや交換が可能です。もしどうしてもレンズが合わなかったら摘出することもできます。
  4. 即時性と持続性: ダウンタイムがほとんどないです。多くの患者は手術直後から視力改善を実感し、基本的に翌日にはとてもよくみえるようになります。

リスク

  1. 手術に関連するリスク: いかなる眼科の手術にも共通するリスクとして、術後の目の感染や予期せぬ大出血(駆逐性出血)のリスクがありますが、これは極めて稀です。
  2. ハロー・グレア:光をみたときに、光の周りがにじんで見える現象です。ICLを入れた人は感じる人がほとんどですが、実際どうですか?と患者さんにきくと、みんな、みえるけど、そんなに大したことはないよという人がほとんどです。もし少しでも気になる人はICLはやめておかれたほうがいいかもしれません。
  3. 眼圧上昇: 過去にはICLを入れた後、眼圧が上昇して、目に激痛が走ったりすることがありましたが、今は改良されたので、起こる可能性は非常に低いといわれています。
  4. 白内障の発症: これもまれですが、ICL術後に白内障になってしまう可能性があります。

ICL手術に適応があるひと

目医者の兄ちゃん

ICLもレーシックと同様にすべての人が受けられるというわけではありません。あなたはどうでしょうか?

年齢制限

ICL手術を受けられるのは18歳以上です。中学生や、高校生ではうけることはできません。なぜかというと、中高生だと、まだ近視がすすんで、レンズを入れても結局また近視で見えにくくなってしまう可能性があるためです。

近視の度数の強さ

ICLは特に高度な近視や乱視の患者に効果的です。手術は、一般的に-3.00D以上の近視の人が適応になります。簡単にいうと近視の程度がそこまで強い人は受けられない可能性があります。ほかにも乱視の度数も制限があったりしますが、自分の目の本当の度数をしるのは、難しいので、適応検査で判断してもらうようにしてくださいね。

眼の病気がないこと

眼が健康であることが第1条件です。目の病気(緑内障、白内障、網膜疾患など)があると手術を受けられません。また、過度のドライアイや目の炎症で治療していた方は適用外となることがあります。

妊娠と授乳

レーシックでもそうですが、妊娠中または授乳中の女性はICLを受けることができません。これは、ホルモンの変動が視力に影響を与える可能性があるためです。

7. ICLとレーシックの比較

目医者の兄ちゃん

ICLとレーシックは、どちらも人気のある視力回復手術ですが、それぞれ異なる特徴と適用範囲を持っています。それぞれ得意不得意があります。

ICLの特徴

  • 適用範囲: 近視が強かったり、角膜が薄いためレーシックが受けられない人に適しています。
  • 可逆性: 必要に応じてレンズの取り外しが可能です。もし合わなければ取り出すことが可能です。

レーシックの特徴

  • 適用範囲: 中等度くらいまでの近視、遠視、乱視に適していますが、十分な角膜の厚さがないと受けられません。
  • 手術方法: レーザーを使用して角膜の形状を直接変更します。
  • 回復期間: 通常は手術後すぐに日常生活に戻ることが可能です。
  • 長期的な視力の安定性: 一度手術すると、元に戻せない。

主な違い

  • 手術の侵襲性: ICLは角膜を削る必要がない一方、レーシックは角膜にレーザーを当てて角膜を削って治療します。
  • 治療可能な近視の強さ: ICLはよりつよい近視や薄い角膜にも対応可能ですが、レーシックはあまりに近視が強い人は適応になりません。
  • 長期的な可逆性: ICLは取り外し可能ですが、レーシックは一度削ったら元に戻りません。
目医者の兄ちゃん

最終的には、適応検査の結果をみたうえで、担当医の先生と相談の上でどの治療をするか選択していきます。
なので、ICLだけでなくレーシックも受けられる病院で総合的に判断できる病院で治療や適応検査を受けることをお勧めします!

ICLで期待できること

ICL(Implantable Collamer Lens)手術は、特に高度な近視や乱視を持つ患者にとって、視力矯正の効果的な方法です。この手術により期待できる主な利点を以下にまとめます。

明瞭な視界

ICLを入れると、裸眼で生活できるようになり、生まれ変わったような感じになります。ハロー・グレアという光がぼやけたりにじんで見えるという症状はありますが、それでも視力が回復するので、日常生活の質が大幅に向上し、とても満足度の高い手術と言えます。

角膜を削らない治療

角膜を削る必要がないため、ICLは角膜の構造を保ちながら視力を矯正します。これは、レーシック手術に適さない薄い角膜を持つ患者にとって特に重要です。

長期的な安全性

ICL手術は、その安全性と効果に関しての十分な臨床データによって支持されています。ゼロではありませんが、手術に関連するリスクは限られており、手術適応にある患者さんには高い成功率が報告されています。

まとめ

しょうた

よくわかったような気が…する…。笑
とりあえずICLは眼科医目線でも、よさそうってことはわかったよ。
友達に聞かれたら、眼科医の兄ちゃんも、いい治療って言ってたっていうようにするよ!

目医者の兄ちゃん

ありがとう。もちろん万人にとって100%満足できる手術というわけではないけど、それでもかなり満足度は高い手術っていえるし、ぜひおすすめ!

しょうた

眼科医の目線でお勧めの病院とかあったらまた教えてよ!

目医者の兄ちゃん

おっけー!よかったら、この記事にまとめてるから参考にしてみて!

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この記事を書いた人

MEISHA Mediaは、小学生の頃からの近視と乱視に悩む弟が、SNSでみた視力回復トレーニングで成果が得られず、兄である眼科医のわたしに相談をしてきたことから始まりました。日頃、手術で視力を取り戻す人々を見てきた私は、弟だけでなく、他の人たちも同じような人がいるかもしれないと思い、医学的に正しい方法を伝えるためにこのサイトを立ち上げました。私たちの経験を活かし、眼科医監修のたしかな医療情報と、信頼できる眼科クリニックを選ぶサポートができることを目指しています。

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